山紫水明綺譚

出版社:冨山房インターナショナル
出版日期:2010-7
ISBN:9784902385939
作者:杉山 二郎
页数:307页

内容概要

杉山二郎氏は、昭和3年(1928)9月14日に東京で生まれ、昨年平成23年(2011)11月30日に83歳で亡くなった仏教美術史学者である。東京大学美学美術史学科を卒業し、東京国立博物館東洋考古室長や、長岡技術科学大学・佛教大学・国際仏教学大学院大学の教授を歴任した。シルクロードの現地調査に参加して西アジアの古代美術や東西文化交流史を研究し、『大仏建立』(昭和43年、学生社)、『遊民の系譜~ユーラシアの漂泊者たち』(昭和63年、青土社)など多数の著者がある。関西とも浅からぬ縁があり、大学卒業後すぐに奈良国立文化財研究所美術工藝室に勤務して5年間奈良や京都の仏教美術の研究に当たり、平成3年から平成8年3月までの5年間、佛教大学の教授を務めている。

作者简介

本書は、杉山氏が佛教大学教授時代に、佛教大学の通信教育の機関誌『鷹陵』に、平成6年から『鷹陵』が廃刊する平成9年まで連載したエッセイ15編をまとめたものである。これに、同じ頃丸善の雑誌『学燈』に連載していた「東西文化比較往来」から祇園祭礼に関するもの3編と本書刊行時に書き下ろされた同じく祇園祭礼に関する文章1編を、第2部「祇園会こぼれ話」として併せ収める。表題は、いうまでもなく、鴨川の西岸にある頼山陽の書斎「山紫水明処」(上京区東三本木通丸太町上ル)に倣ってつけられている。
当時杉山氏は、週の四日を東京で過ごし、三日を京都で過ごすという生活を送っていた。江戸っ子である杉山氏が、祇園祭に町衆として参加するなど、深く京都に入り込んで体験した京都見聞録であり、サブタイトルに「京洛の文学散歩」とあるように、木下杢太郎・森鴎外・永井荷風などの文人たちの京都について書かれた文章や絵などを紹介した文学散歩である。博学の杉山氏が、国際的な視野のなかで、京都の歴史や文化について、京の風情を詠んだ文人の漢詩などを交えつつ、いささか衒学的に、縦横無尽に語っている。
杉山氏は、学者の先生としては、読み物として面白すぎる文章を書く人である。江戸っ子らしい明るさと歯切れのよさ、そしてどことなくハッタリのきいた文章は、学術書であってもそれを忘れるほどである。その軽妙な文体は処女作『大仏建立』から一貫している。
第1部「山紫水明綺譚~京洛の文学散歩」と第2部「祇園会こぼれ話」では、トーンが全く異なる。「山紫水明綺譚」は、木下杢太郎・森鴎外・永井荷風・中島棕隠・依田学海などの文章や漢詩を引きながら、文人たちが描いた京都のことをあれこれ思いめぐらしている。あとがきに述べているように、過去の文人の目と同化して京都を見る「一種のアナクロニズム」が横溢していて、現実の京都に暮らしている感覚、生活臭がないのである。これは杉山氏が京都を日本文化の創造した藝術作品として捉えていることにもよる。京都は外部目線で眺められていて、体験として語られるのも学術都市京都の古書肆めぐりぐらいのものである。
杉山氏にとって関西は第二の故郷ともいえると思うが、よそ者の書いた京都案内という感が拭えないのはなぜだろうかと考えてみたが、じつはこれは半分は江戸の話であり、江戸と比較しつつ京を語る江戸文人の京都見聞というスタイルがとられている。杉山氏は江戸の文人として京都を語っているのである。そしてそこには、失われた江戸への思いがこめられている。江戸もまた日本文化の創造した藝術作品であったが、今はもう存在しない。京都にはそうした日本文化の結晶が残っていて、今も息づいている。それを、過去の文人たちの視線に同化しながら語ってみるというのが、この「山紫水明綺譚」なのである。


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